2021年11月2日
前回、好中球が少なく化学療法が1週間延期となりました。
予定どおりできておらず、悪化しているのではないかと不安になる。
採血後の診察は…
主治医「今日は大丈夫ですよ。点滴ができます。」
よかった…。
好中球はもどってきておりOK。
肝機能などは横ばいで悪化はしていない様子。
よくもなってないってこと? 大丈夫かな…。
細かい数字に一喜一憂してもあまり意味ないことはわかっているつもりでも、
やはり数字は気になってしまう。
だからこそ治療ができることにほっとする。
入院中につくった、左胸のポートから点滴を行う。
勝手なイメージでポートは刺すときにあまり痛くないと思っていたのだが、針を刺すと普通に痛い。予定より1週間延びたため、ポートが詰まっていないか心配だったが問題なく化学療法が開始された。
はじめは副作用を抑えるための点滴から開始し、次に抗がん剤が投与される。
しばらくすると頭全体から汗がじわりと噴き出してくる。
入院中の感じを思い出す。
明らかに身体の感覚が変わって、抗がん剤が体をまわっているのがわかる。
入院中よりも汗が多く吹き出し、倦怠感もあり寝てすごそうと思うも、看護師さんが頻回にチェックに来られるのでなかなか眠れない。
トイレも3回目くらいになると手を洗う水の冷たさで指先がビリビリしてくる。
目もかすんで、物の見え方も少しおかしい。
入院中よりもしっかり副作用が出ている感じ。
終わって院外薬局まで薬を取りに行くが汗がじわり、じわり吹き出てきてとまらない。
こうして初回の外来化学療法は終了。
入院中は不安が強くてあまり余裕がなかったのだが、
外来では数時間でいろんな副作用を経験して、この日は副作用がつらいというよりも、
「薬がこれだけ体に変化をもたらすのか」と怖さと同時に少しおもしろさを感じるのでした。
なによりも治療ができたことに安心と感謝。
よかった、よかった。
化学療法が延期となり、副作用の影響もそれほどなく体調は良好。
これを機会にやれることをやらねば!
とりあえず、保険の申請手続き。
何かあったときの保険と思って入っていながらも、いままでほとんどお世話になったことはなかった(それが一番)。いざ病気がわかると、治療費がかさむ不安もあり「入っていて良かった」と思う。私が成人になった頃から親が私にガン保険をかけてくれており(今は自分で払っていますよ)、ほんとにありがたく思います。
入院中に書いた「やりたいことリスト」の一つが「SUV車に乗ってみたい」。
結婚してから車選びはやっぱり子供中心で、子供が増えるきっかけで乗り換え。
今乗っている車はワンボックスのスライドドア。まだ子供も小さく、乗り降りしやすい、車内は広い、荷物も詰める、何の不満もなくええ車です。車検も1ヵ月前に受けたとこ。次の車検か、長男が高校生くらいになったらSUV車に乗れたらいいなぁ、なんて思っていました。
でも、こうなってしまうと、そこまで生きているか分かりません(がんばりますけど)。
というわけで、気になる車の試乗に奥さんと車屋さんに行くことにしました。
平日なのですぐに予約も可能。実は車を試乗するのははじめて。
気になるSUV車に乗って気分はノリノリ。ええわ~。
しかし、奥さんはあまり乗り気でなさそう。そりゃ、今の車でなにも問題ないですからね。
ただ、これは私の数少ない「やりたいこと」の一つ!
実現可能!
ということで検討して購入する方向で決定!!
イェーイ!!!
というものの、世の中はコロナ禍。
車屋さんの話では東南アジアの工場が止まり、世界的な半導体不足。
そのため、納期は4、5ヵ月先。車によっては半年以上と!
新車にはこだわりません。新古車ぐらいでと、知り合いの車屋さんに探してもらうことにしました。すると、半導体不足の影響で中古のほうが高くなっていたりすると。
コロナめ…。結局、なんやかんやで希望の車を新車で、約一ヶ月の納期というのを見つけてもらいました。ラッキー!
先ほど「病気で治療費かかる…」といいながら、試乗から5日ほどで車を買ってしまいました。
子どものおもちゃみたいなもので、楽しみがあるだけで気分は爆上がり。
新しい楽しみを糧に治療もより頑張っていけそう!
つづく
初回の化学療法から2週間目。
外来での化学療法のため受診。
採血を終えて、診察を受ける。
主治医「残念ですが今日は化学療法ができません。」
私「え??」
主治医「好中球が少ないです。これくらいだとできないです。」
好中球とは、身体を感染から守ってくれる免疫細胞のことです。
抗がん剤の影響で免疫細胞の数が基準よりも少なくなっているのです。
この状態で抗がん剤をしてしまうとさらに免疫細胞を減らしてしまい、感染しやすくなり、病気にかかっても免疫細胞が少ないので重症化してしまう可能性が高くなってしまうのです。
他の数値は良くなっていたので、このまま続けていければガンを小さくしていけるのではないかと期待していただけにちょっとショック。しかし、化学療法後の経過日数が長くなると副作用の影響も少なくなり、普段に近い状態で動けるので、ポジティブにとらえ何か今のうちにできることをやっていこう。
好中球・・・好中球とは白血球の中にあり白血球の約50%を占めています。
細菌などの感染の原因となる病原体を排除する役割を担っていて、がんの治療に用いる薬の副作用によってこの好中球が少なくなります。
(4/6のブログに書いた抗がん剤の副作用のうち骨髄抑制の状態です)
つづく
手続きや簡単な引き継ぎなどのため2週間ぶりに職場へ行く。
朝、久しぶりに髪の毛をセットしていると、
つまんだところから、ごっそり髪が抜ける!!
(パラパラと)抜け毛のレベルではなく、
つまんだ分そのまま抜ける感じ。
痛みは全くなく、すっぽり抜ける。
セットしようにも、指につけたワックスにまとわりつくように
どんどん抜けてくる。
脱毛だ!!
副作用には2週間後ぐらいから脱毛が始まると聞いてはいたが、
きっちり2週間で抜け始めた。
両祖父ともどちらかというと剛毛で自分も髪の量は多い方なので、
今まで抜け毛を気にしたこともないし、気にしないタイプと思っていました。
でも、実際に抜けるとやっぱりショック!
これだけ抜けると、抜け毛がちらかって大変かと思い、
奥さんに「今日、職場の帰りに坊主にしてくるわ」と話して職場へ。
すると、午前中に奥さんからLINE、
「今日の夕方、写真館の予約を取ったから髪切るのを待って!」と。
今年、娘の七五三だったのですが、自分の病気のせいでお詣りや写真撮影もできていませんでした。そして、私の「やりたいこと」の一つに「写真館で家族写真を撮る」という話をしていたので、急遽写真館を探して予約してくれたのです。
すばらしい!
夕方、子供たちの習い事はお休みにして、
髪の毛のあるうちに娘の七五三の写真と家族写真を撮りに行きました。
家族写真は普通バージョンに加え、
私の希望でミニバスケットボールのユニフォームで写真を撮りました。
ひとつ、やりたかったことを達成☆
奥さんのおかげで良い家族写真が撮れました。
本当に感謝、感謝。
抜け毛の様子
10/25 10/26 10/31
*翌日に坊主に散髪にしましたが、そこから抜けてまだらに。病人感が強いので、娘に手伝ってもらってバリカンとひげそりでスキンヘッドの状態になりました。
意外にも娘からは「かわいい」と好評でした。NBA(アメリカのプロバスケットボール)が好きな私としては、マイケルジョーダンのようなかっこいいスキンヘッドになればと思ったのですが、典型的な日本人顔なのでお坊さんのようにしかなりませんでした。残念。
つづく
がんが見つかったときは
「まさか自分が?」「こんな歳で?」
と、信じられませんでした。
職場では春と秋に職員健診があります。
今まで特に何かで引っ掛かったことはなく、
がんが見つかる半年前も特に指摘されるような項目はありませんでした。
「なんで、自分が!?」ってなりますよね。
どうすればもっと早く気づけたのか?なんて考えてみるのですが、
がんがみつかる直前まで特に症状もなく、それまでの採血の結果も問題ないとなると
受診することはありません。
唯一、早期発見出来る可能性があったとすれば、それは人間ドックを受けることでした。
これでしか自分のがんを見つけることはできなかったと思います。
2~3年に一回、当院で受けていたのですが、この2年は業務の忙しさもあって、
人間ドックを受けていませんでした。
最後に受けた人間ドックでも胃カメラは実施していたのですが、
大腸カメラ(大腸ファイバー)は受けていませんでした。
定期的に人間ドックを受けて、大腸カメラ(大腸ファイバー)もしていれば、
早期発見できて、手術もでき根治も期待できる状態だったかもしれません。
がんだけでなく、早期発見、早期治療でよくなる病気はたくさんあります。
このブログを見てくださっている方々は、
ぜひ、これを機に定期健診だけでなく人間ドックを受けてほしいと思います。
なにもなければ、それでよし!
何かあっても、早く見つかってラッキー!
受けない理由はなんですか?
・忙しい
→1日くらい休めるでしょ。病気になったら働けませんよ。
・そのうち行こうと思っている。
→「そのうち」はいつまでもやってきません。いつ行くの?今でしょ!
まず予約しましょう。
・自分は大丈夫
→本当ですか?大丈夫なのを確認しに行きましょう!
がんになって約半年。
治療には自分だけでなく、家族や周りの人たちにも心身共に大きな負担をかけてしまいます。自分のような経験をする人は少しでも減って欲しいと強く思います。
自分のため、大切な人のために、人間ドックを受けましょう。
定期健診・・・「労働安全衛生法」に基づいて義務付けられている毎年定期的に行われる検査で検査項目は限られています。
人間ドック・・・病気の予防や早期発見のために行われる検査で定期健診とは異なり人間ドックを受ける判断は個人に委ねられ定期健診にはない項目が多く含まれています。
(たとえばCT・超音波検査・胃カメラ・大腸カメラなど)
我ながらベタであると思いながら、以前から観たかった映画「最高の人生の見つけ方」を入院中に観ていました。
話は傲慢な実業家の男と心優しい整備工が病院で同室となる。2人はがんを患い、余命半年。ある日、整備工が死ぬまでにやりたいことを記した「棺桶リスト」を実業家の男がみつける。生涯やり残したことをかなえるために、後悔を棺桶にもちこまないために、最高の人生だったとほほえむために、2人で生涯最後の冒険旅行にでかけるというもの。
これは吉永小百合さんと天海祐希さんの主演の日本版もあり、個人的には、日本版のほうが親近感もあってグッときました。
「人生でやり残したことはないか?」「死ぬまでにやりたいことは?」
とりあえず、携帯のメモに書き出してみることにしました。
いくつか書き出しましたが、意外と思いつかない…。
まあまあ、やりたいことやってきたし、けっこう幸せな人生ってことか。
ただ、考えていると「やりたいこと」よりも「やっとかないといけないこと」がどんどん出てくる。
仕事の引き継ぎ、公共料金やらの支払い口座の変更、ネット管理している登録アドレスの変更などなど。自分がいなくなったら困るであろう事務手続きがどんどん出てくる。
これを処理しないと「やりたいこと」どころではなく、死んでも死にきれません。
「やりたいことリスト」はどれもちょっと頑張れば、無理すれば今までに全然できたことで、それほど特別ではないことに気づく。
「いつかやろう」と思っていると、その日はやってこない。
人生は有限「いつやるの?」「今でしょ!」
元気があれば何でもできる!
健康じゃないとできないこともある。
みなさんも今、やりたいことがある人は、それが実現可能であるなら、ぜひ今から予定を立ててやってみてはどうでしょう。
といいつつも、自分はとりあえず周りが困らないように「やっとかないとリスト」から。
もちろん、「やりたいことリスト」もコンプリートしてやろうと思います(ニヤリ)。
つづく
いつもブログをご覧いただきありがとうございます。
今回は近況についてお伝えしたいと思います。
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半年前、病気が分かった時にまず考えたのが、
息子と娘の入学式に出られるかどうかということ。
治療を開始したばかりで、今後どうなるか分からない中、
せめて子どもたちの入学式には出席したい!
2人の入学の姿を見届けたい!
という思いが強くありました。
ありがたいことに、抗がん剤が効いてくれたおかげで、
2人の新たな船出に立ち会うことができました。
午前中は娘の小学校の入学式。
緊張はしていたようですが、お兄ちゃんたちの時よりは、
みんな色とりどりのランドセルを背負って、歩いているだけでかわいい。
午後からは息子の中学校の入学式。
小学校とは違い、おごそかで式典といった感じ。
知っている同級生の子も、少し大きな制服で緊張した面持ちが印象的でした。
1人ずつ、名前を呼ばれ一礼をしていきます。
入学式での長男の姿を見られたことで満足したところもあったのですが、
ぶかぶかの制服を着た長男の姿をみると、
この制服が似合うくらいに成長した姿を見たいと思いました。
そして、娘の中学校入学の姿も。
入院中に作成した「やりたいことリスト」。
最初に書いた2つを達成することができました!
そして、新たに
「長男の卒業式への出席」と「娘の中学校入学式への出席」
を追加しておきます。
ここまで生きられたことに感謝し、子どもたちの成長を見続けられるよう、
がんと上手く共存していこうと思います。
病気になると、当たり前にくると思っていた未来は、有り難いものになるかもしれません。
私は病気になったおかげで、なんでもない日常はありがたい(感謝)と思えるようになりました。
ブログを読んでくださっている皆さんには、普段から健康に気をつけていただき、定期健診や人間ドックをうけて、大病にならず、当たり前の日常が当たり前であり続けて欲しいと思います。
※今年の会下山公園の桜。18年川崎病院で勤務していますが、今年初めて行ってきました。
患者さんから聞いていたとおり見事な桜がたくさんありました。
退院後翌日。
退院後の夜はポートを入れたところの違和感やしゃっくりであまり眠れず。
午前中は特に変わりなく過ごせたのだが、昼食後から倦怠感が強くなる。
午後からは息子たちのミニバスケの練習試合。
がんになる前はベンチに入ってコーチのお手伝いや審判をしており、練習や試合にはほぼ参加していた。
調子が良ければ見に行くだけでもと思ったが、どうも様子がおかしい…。
熱を測ると37.9℃!
解熱剤を飲んで良いのかもわからず、熱もあがってきたので病院に電話して指示を受ける。
病院からの指示は緊急性もないため様子を見ることに。
しかしその後、さらに熱はあがり38.6℃!
翌朝。少し楽にはなるが、発熱は続いており、何が起っているかも分からず不安なため受診することに。当然コロナが疑われるため、PCR検査を行い陰圧室にいれられ、採血をされる。悪寒と倦怠感でもうろうとする。結局、コロナは陰性、問題になるような感染症もなく、解熱剤のみ処方され帰宅。
結局、今回の発熱は抗がん剤やがんとは関係なし?
翌日には熱がさがっている。
なんだったのか…。
がん初心者としては、何か起ると「何か悪いことがおこったのでは!?」と、過剰に心配してしまうのでした(家族は自分以上に)。
つづく
入院5日目。
血液検査の結果が問題なければ退院。
検査結果は・・・
肝機能の値は改善しており、初回の抗がん剤は効いている様子。
他の値も特に問題ないため、本日退院!
主治医に肝臓を触診してもらうが、肝臓の腫れも小さくなっていると。
体感としても腹部の張りは明らかに減っており、呼吸も楽になっている。
たった一回の化学療法でこんなに変わるのか。
抗がん剤ってすごい。
逆にもう少し遅れていたらどうなっていたのかと思うと怖い…。
とりあえず、よかった。
このまま効いてくれればとりあえず年越しは大丈夫かな。
つづく
抗がん剤治療といえば、気になるのはその後の副作用。
多くの方がこの副作用に悩まされています。以前よりも薬が良くなり、副作用の影響も少なくなっているといわれているが、実際はどうなのか…
抗がん剤治療が始まる前に、薬剤師さんや看護師さんに抗がん剤の副作用やそれに対する薬の説明をうけていました。自分が行っているFOLFOXIRI療法の抗がん剤で起こりうる主な副作用はこんな感じ。
・下痢、消化器障害
・嘔気(吐き気)、嘔吐
・(痛み・しびれなどの)知覚障害
・口内炎、
・食欲不振
・味覚障害
・脱毛
・全身倦怠感
・骨髄抑制・・・がん治療の副作用やがんそのものによって血液の生産能力が低下している状態。そのため貧血や感染しやすい状態になる。
特にひどい下痢が脱水など起すため注意が必要と説明をうける。おこりうる副作用はすべて説明されるので少し怖くなる。
ちなみに今回の入院中に出現した副作用はこんな感じでした。
・急な発汗 点滴中に少し身体を動かすだけで頭から汗が噴き出す感じ。常にではなく、少し動くと全体から汗がじわっと噴き出す。夜中寝ているときも急に汗をかいて目が覚める。
・軽い下痢 点滴中に1度だけ軽い下痢。
・全身倦怠感 点滴中はそれほど変わりないと思っていても、知らないうちにウトウトして寝てしまう。トイレに歩いて行くときは少し力が入りにくく足元が少しふらつく感じ。
・知覚障害 コンビニで冷たいお茶を買うと指先がビリビリ。冷たさを感じるたびに痛くなり手で持てないくらいの痛みに。暖めると元に戻る。
・しゃっくり 5-10秒に一回のしゃっくりがとまらなくなる。眠れないので薬をもらったほど。
・視力障害 物がぼやける。焦点が合いにくくなる。
一番心配した下痢症状はほとんどなく、しゃっくりがでるなど副作用は人によって様々のようです。手の知覚障害は今まで経験したことのない感覚で新鮮というか、少しおもしろいと思ってしまいました。人間の身体って不思議ですね。他の副作用も初回のせいもあるのか、もっと動けなくなるくらいきつい副作用を想像していたので、思ったよりは軽いな、いけるなという印象でした。
しかし、退院後はやはりこの副作用がやっかいで日常生活に大きく影響を及ぼすことを痛感させられるのです…。
つづく