地域連携室からの予約により、週明けの月曜日に紹介された病院の受診となる。
最短での受診予約となり、よかったと思っていたのだが
それでもこの週末の2日間が長い。
1日、1日、どんどんがんが進行しているのではないか…。
とはいえ、お腹が張っているくらいで、
もはや右肩痛もなくなり、普通と変わらない体調。
…自分は本当にそんなにひどいがんなのか?
身体は今までどおりの感じなのに、間違いなくがんがある。
現状に頭と心がついていかない感じの週末を過ごす。
2021年10月11日(月)
腫瘍内科受診。
採血の検査後、診察の時間となり、奥さんと一緒に主治医から説明をうける。
・直腸癌があり、リンパ節にも転移がみられている。
・肝臓に多発転移がある。 →奥さんははじめてCT画像を診て驚愕する。
・根治することはなく、抗がん剤治療の方針となる。
・肝臓の値が悪く、抗がん剤が出来ない可能性もある。
その場合は、痛みを取る治療となる(緩和ケア)。
・明日から入院して、検査を行い、結果をみて抗がん剤治療を開始していく。
このときの私の気持ち
・リンパにも転移あったんや。気づいてなかった。
・(肝臓のCT画像をみた奥さんのリアクションをみて)大丈夫かな?(もちろん大丈夫ではない)
・わかっていたけど、とりあえず抗がん剤しかない。
・金曜日よりも肝臓の値さらに悪くなってるやん!抗がん剤はできるのか!?
・抗がん剤できなければ年も越せないのか?
→「抗がん剤できないときは月単位の余命ですよね?」と質問。「そうなりますね」と。
・とりあえず、抗がん剤治療ができるかどうかか。
「あなたはがんです!」っていうショックは先週の段階でうけているので、
今回の説明もいたって冷静に落ち着いて聞くことができました。
奥さんはめちゃめちゃ動揺していたと思います。
最悪のシナリオは「もう治療は何もできず、緩和ケアです」と言われること。
明日から入院して治療を開始できる(かも)ということをポジティブにとらえ、
少しだけほっとしていました。
この日わかったことは、現時点での自分の余命は、
「抗がん剤治療ができるか、できないか」によるということ。
つづく
なぞの右肩痛から3日。
私の病気は『直腸がん(大腸がん)、リンパ節転移、肝多発転移』ということがわかりました。正直、ヘビーですよね。本当に急で、びっくりで、この時点で実際に自分がどれほど受け入れ出来ていたのかはよくわかりません。ただ「なってしまったものはしょうがない。」「これから何ができるのか」というのが最初の感情だったような。
しかし不安や心配は後からじわりじわり湧いてきましたね。
がんとわかると気になるのは、残された時間「余命」ってなりますよね。
スマホで調べてみると、
大腸癌の生存率(2018年)
3年生存率 5年生存率
・ステージ3 83.4% 72.0%
・ステージ4 18.3% 10.3%
ステージ3までは手術もできるけど4となると一気に生存率落ちるのよね。
しかもこれは、ステージ4でも病気の進行度にもよるしね。
私のはだいぶやばそうだし…
3年生存率で2割いないのか…
5年生き延びれば長男の高校入学まではいける。でも、娘の中学入学は見られない。
どんなにうまくいっても、娘の結婚式はさすがに無理かな…。
自分が亡くなってしまうと想像した時、
一番悲しくなるのは子供たちの成長が見られなくなってしまうこと。
みんな良い子たち!どんな大人になるのか楽しみでしょうがない。
一緒にやりたいこともたくさんあるんだよな〜。
ただ、どうも老後の心配からは解放されたのかな?
残された時間は…2〜3ヶ月? 半年? 1年?もっと?
今はがんが発見されただけで何も治療していない状態。
こうしている間にもがんがどんどん進行しているかと思うと怖い。
手遅れになって治療ができないのでは? すでに手遅れの可能性も?
早く!何か治療を!
つづく
直腸がん確定。治療することになると職場も休むことになる。
この先の業務のことや引き継ぎなどを色々考えてみるが、
どうなるかもわからない。とりあえず近日の申し送りだけ作成し検査を待つ。
昼から造影CT撮影。
造影CTも初めての検査。
確か川崎病院では最近新しいCT機器に更新された?
造影剤を流される時、熱くなることがあると説明がある。
検査が始まると本当に流れた後に全身がカーっとなる感じは初めて味わった感覚。
病院で長いこと働いているけど、実際に自分が患者となって検査を受けると
準備や受付、検査の負担など知らなかったことが多いと気付かされる。
検査結果が出たころ消化器内科の先生と総合診療科の先生の元へ。
肝臓はビックリするほど大きな腫瘤が何個も肝臓全体にボコボコ!!
こんなに…。想像以上にひどい…。これはやばいな…。
つい2日前まで普通に働いていたのに、
今も痛いわけでもなく、普通に動けるのに、
身体の中ではこんなことになっていたのか…。
あまりにもギャップが大きすぎて信じられない。
早めに対応した方がいい状態であることは間違いなく、大きな病院での治療を進められる。
先生方にすぐに紹介状を書いていただき、地域連携室から治療先の病院へ受診の調整をしていただくこととなる。
就業時間終了の30分くらい前。
地域連携室から週明けの月曜日に受診予約が取れたとの連絡があり、
紹介状と検査結果のCDデータを受け取りに行く。
早い!よかった。
週明けの最短で受診予約を取ってもらえた。
地域連携室は患者さんの入退院の難しい調整などでいつもお世話になっている部署。
まさか自分が調整してもらう立場になるとは…
治療がどうなるか?待っている間にがんが進んでいくのではないか?
といった不安が強かっただけにすばやい対応に本当に感謝。
つづく
新しいCT…
当院では昨年の9月にCTを入れ替えました。
CTは短い撮影時間で画像の質も高く、痛みのない撮影が可能となっています。
被曝量も従来に比べると少なくなっており身体への負担も少なくなっています。
地域連携室…
通院されている患者様や、ご入院されている患者様の日常生活への復帰をお手伝いすべく在宅療養への支援活動や、あるいは在宅療養が困難な患者様の転院先の相談をお受けします。地域住民の皆様との繋がりを大切にし、自治会、婦人会、学校へ積極的な活動の提案や参加を行います。また医療に係わる各種制度のご案内をすると共に患者様が抱える様々な悩みを一緒に考えます。
がん発覚の翌日。
ショックどうこうよりも自分の中で何が起こっているのか知りたいという気持ちが強い。
午後から検査予定。午前中は仕事をするのですが、
検査のために腸を空っぽにする必要があり、大量の下剤を飲みながらの仕事。
時々、患者さんの病室に置いてあるのを見て、大変そうだと思っていたけど
自分が飲むのは初めて。
量は多く大変だけど、味は意外とスポーツドリンクのようでいける。
しかし、頻回のトイレの駆け込みには参った。
午後から検査。
まずは胃カメラから。2年前に半日ドックで検査した時以来。
半日ドックの時は鼻からだったが、今回は口から。
胃の中の様子を自分でも見てやろうと思ったのですが、
なかなか喉がカメラを受け付けられず、
オエオエなりながら、涙も止まらず、画面を見る余裕なし。
次に初めての大腸の検査。
胃カメラに比べると全然マシ(あくまでも個人の感想です)。
画面を見ていると、
「いきなり奴がいる!」
入れてすぐに、大腸に関しては全くの素人の私でも分かるくらい、
明らかに異質な状態になっていることを確認できた。
「こいつか〜」と思っていると、奥にずんずん進んでいく。
先生は画面を見ながら巧みにカメラを操り、どんどん進めていく。お腹をカメラが進んでいくのもわかる。腸内の解剖を知り尽くし、3次元的に捉えて素早く操るのはまさに職人技。
大腸検査初心者でも分かる手捌きに感動。
検査後、先生から結果説明を受ける。
「見ていたからたぶん分かると思うけど、直腸にがんがありました」
とのこと。
そうだよね、あれだよね。こいつが黒幕だったのね。裏付け捜査完了です。
直腸を塞ぐように大きながんが見つかりました。
そういえば、快便自慢の私でしたが1ヶ月くらい前からどうも便秘気味になっていたわ。
とはいえ、少々便秘ぎみってなっても、直腸がんとは思わないよなー。
こいつがどうも原発のようです。
つまり、肝臓に転移しているのでその時点でステージ4。
ステージ4…。重いな…。
心づもりしていたつもりだったけど、やっぱり凹むわ〜。
先生からは明日の造影C Tの結果を揃えて、治療先の病院を早めに探していきましょうと言われる。
つづく