外来の最後に、ポートに針を刺して抗がん剤の入ったインフューザーポンプ(写真①)をつけて帰ります。
ポンプをぶら下げた状態で48時間すごし、終了後に自分で抜去。
ポンプはこんな感じでポーチに入れてすごします。(写真②)
写真①
写真②
ルートには温度センサーがついており、センサーが体に密着していていないと流れてこないようになっています。
ポンプをぶら下げての生活が初めての経験。
普段はそこまで気にならないのだけど、
寝るときは無意識でどうなっているかわかりません。
寝返りの時に引っかけるとか、ポンプをつぶしてしまわないかが気になって、
何度も目が覚めて確認していました。
実際は簡単にはつぶれないし、点滴のルートも簡単に抜けないようにとめてくれているので、そんなに気にする必要はないそうです。
ゆっくりゆっくりとポンプがしぼみ、48時間後はこんな感じ。
直後 24時間後
48時間後 外来へ
写真のようにしぼむと、針を自分で抜き、抜いた針などは次回の外来に持って行きます。
入院中に2回ほど看護師さんに模擬のポートなどを使用しながら指導してもらっていたので、いだたいた手順書を見ながら問題なく針を抜くことができました。
簡単にできるのですが、『針を抜く』という所は初回ということもあって、
やっぱりちょっと緊張するというか、怖い感じはありましたね。
人によっては「無理~!」という方もいるのではないかな?
こうして抗がん剤をぶら下げた2日間が終了。
小さな軽い物なのですが、抜去するとものすごく身体が軽くなったような感じがしました。
インフューザーポンプ
・・・わかりやすくいうと「抗がん剤お持ち帰りポンプ」です。
外来化学療法室で点滴の治療後、抗がん剤を入れたボトルをつなぎ、写真②のように専用の袋にいれて帰宅します。(今回の場合は)薬がなくなるまで48時間かかりますが、患者さんは通常の生活を送ることができます。ポンプは専用の袋に入れて首から下げたりポケットに入れるなどしておきます。最初は重たいかもしれませんが、少しずつ抗がん剤が注入されてボトルは小さくなり、軽くなっていきます。
つづく
2021年11月2日
前回、好中球が少なく化学療法が1週間延期となりました。
予定どおりできておらず、悪化しているのではないかと不安になる。
採血後の診察は…
主治医「今日は大丈夫ですよ。点滴ができます。」
よかった…。
好中球はもどってきておりOK。
肝機能などは横ばいで悪化はしていない様子。
よくもなってないってこと? 大丈夫かな…。
細かい数字に一喜一憂してもあまり意味ないことはわかっているつもりでも、
やはり数字は気になってしまう。
だからこそ治療ができることにほっとする。
入院中につくった、左胸のポートから点滴を行う。
勝手なイメージでポートは刺すときにあまり痛くないと思っていたのだが、針を刺すと普通に痛い。予定より1週間延びたため、ポートが詰まっていないか心配だったが問題なく化学療法が開始された。
はじめは副作用を抑えるための点滴から開始し、次に抗がん剤が投与される。
しばらくすると頭全体から汗がじわりと噴き出してくる。
入院中の感じを思い出す。
明らかに身体の感覚が変わって、抗がん剤が体をまわっているのがわかる。
入院中よりも汗が多く吹き出し、倦怠感もあり寝てすごそうと思うも、看護師さんが頻回にチェックに来られるのでなかなか眠れない。
トイレも3回目くらいになると手を洗う水の冷たさで指先がビリビリしてくる。
目もかすんで、物の見え方も少しおかしい。
入院中よりもしっかり副作用が出ている感じ。
終わって院外薬局まで薬を取りに行くが汗がじわり、じわり吹き出てきてとまらない。
こうして初回の外来化学療法は終了。
入院中は不安が強くてあまり余裕がなかったのだが、
外来では数時間でいろんな副作用を経験して、この日は副作用がつらいというよりも、
「薬がこれだけ体に変化をもたらすのか」と怖さと同時に少しおもしろさを感じるのでした。
なによりも治療ができたことに安心と感謝。
よかった、よかった。
つづく
4月19日、緩和ケア医でがん患者となった、関本剛先生がお亡くなりになりました。
皆さんご存じの方も多いと思いますが、灘区にある関本クリニックの院長で、緩和ケアの患者さんを診療されていた先生です。
関本先生には、2年前に当院で緩和ケアについての講演をしていただきました。
自分ががんになってからは、
先生の著書“がんになった緩和ケア医が語る「残り2年」の生き方、考え方“
を読ませていただきました。自分はあまり他の人のブログや体験談の本などは読まない、読みたくない?タイプなのですが、年齢も近く同年代ということもあり、この本を読んで、がん患者の心構えといいますか、過ごし方や考え方などに触れ、自分もお手本にしたいなと思う内容でした。
「最悪の事態に備え、最良に期待する」
先生が診療されているがん患者の方にかけられている言葉だそうです。
ネガティブなことはなかなか考えることがつらく、家族もそのような話は嫌がる傾向があります。しかし、最期が近くなった状態では心身共に考える余裕もなく、自分の思うような最期を迎えられないかも知れません。今のうちにしっかり最悪の事態を考え、準備しておくことによって、日々の闘病生活も充実するのではないでしょうか。
関本先生はたびたび、テレビで特集されており、
闘病しながらも終末期の患者さんと真摯に向き合い、私生活も楽しんでおられる姿はとてもかっこよく、自分の理想とする姿であるように思いました。
関本先生は、がん患者だけでなく、それに関わる家族や医療従事者に対して大きなものを残してくれたと思います。きっと今は天国で関わったたくさんの患者さんたちに囲まれて楽しく語り合っているのではないでしょうか。
ご冥福をお祈りいたします。
つづく
化学療法が延期となり、副作用の影響もそれほどなく体調は良好。
これを機会にやれることをやらねば!
とりあえず、保険の申請手続き。
何かあったときの保険と思って入っていながらも、いままでほとんどお世話になったことはなかった(それが一番)。いざ病気がわかると、治療費がかさむ不安もあり「入っていて良かった」と思う。私が成人になった頃から親が私にガン保険をかけてくれており(今は自分で払っていますよ)、ほんとにありがたく思います。
入院中に書いた「やりたいことリスト」の一つが「SUV車に乗ってみたい」。
結婚してから車選びはやっぱり子供中心で、子供が増えるきっかけで乗り換え。
今乗っている車はワンボックスのスライドドア。まだ子供も小さく、乗り降りしやすい、車内は広い、荷物も詰める、何の不満もなくええ車です。車検も1ヵ月前に受けたとこ。次の車検か、長男が高校生くらいになったらSUV車に乗れたらいいなぁ、なんて思っていました。
でも、こうなってしまうと、そこまで生きているか分かりません(がんばりますけど)。
というわけで、気になる車の試乗に奥さんと車屋さんに行くことにしました。
平日なのですぐに予約も可能。実は車を試乗するのははじめて。
気になるSUV車に乗って気分はノリノリ。ええわ~。
しかし、奥さんはあまり乗り気でなさそう。そりゃ、今の車でなにも問題ないですからね。
ただ、これは私の数少ない「やりたいこと」の一つ!
実現可能!
ということで検討して購入する方向で決定!!
イェーイ!!!
というものの、世の中はコロナ禍。
車屋さんの話では東南アジアの工場が止まり、世界的な半導体不足。
そのため、納期は4、5ヵ月先。車によっては半年以上と!
新車にはこだわりません。新古車ぐらいでと、知り合いの車屋さんに探してもらうことにしました。すると、半導体不足の影響で中古のほうが高くなっていたりすると。
コロナめ…。結局、なんやかんやで希望の車を新車で、約一ヶ月の納期というのを見つけてもらいました。ラッキー!
先ほど「病気で治療費かかる…」といいながら、試乗から5日ほどで車を買ってしまいました。
子どものおもちゃみたいなもので、楽しみがあるだけで気分は爆上がり。
新しい楽しみを糧に治療もより頑張っていけそう!
つづく