「せん妄(もう)」について
生活環境が突然変わったり、体の調子を崩したりすると、心の調子が崩れることがあります。
気持ちが落ち込んだり、いらいらしたり、体に何らかの負担がかかったときに、「せん妄」といわれる一時的な意識の混乱がみられることがあります。
一般的な病院に入院している患者さんの20~30%にみられるといわれています。
せん妄のときには、こんな症状がみられます
- 場所や時間の感覚が鈍くなる
- 怒りっぽくなる
- 落ち着きがなくなる
- ぼんやりする
- 昼と夜の感覚がつかみにくくなる
- つじつまの合わない会話をするようになる
- 実際にはないものが見えるようになる
- 体についている治療のための管を知らないうちに抜いてしまう
こんな方はせん妄を引き起こしやすくなります
- 体の調子が悪い方
- 手術や処置を予定されている方
- 脳の病気をしたことがある方
- 物忘れをよくする方
- 高齢者(70歳以上の方)
- お酒を普段からよく飲む方
- 視力の低下や難聴をお持ちの方
- 睡眠薬や神経に作用する薬を飲まれている方
- 以前、せん妄を起こしたことのある方
- 睡眠薬や神経に作用する薬を飲まれている方
せん妄の症状に対してはこのように対処します
早期に適切な治療やケアを行えば、多くの場合はよくなりますが、そのままにしておくと、二次的な病気が起きたり、治療が進まず入院期間が延びたりしてしまいます。せん妄の原因と考えられる体の負担を取り除き、できるだけ不安や心配事のない環境に整えていくことが大切です。
患者さん・ご家族の方へのお願い
せん妄を予防するために下記にご協力ください。
- 入院前の生活習慣などについての情報を看護師にお伝えください。
- 時間を意識できるカレンダーや時計をお持ちいただき、見える位置に置いてください。
- 環境の変化をできるだけ少なくするため、なじみのある物(食器、パジャマ、布団、写真など)やお気に入りのものをお持ちください。
- 日中にできそうな趣味をお持ちの場合は、体の状態が安定してきた際に活用しますのでお持ちください(本、編み物、パズルなど)。
- 危険物(ナイフ、はさみ、爪切り、ライターなど)を病院へ持ち込まないでください。
- ご家族の声を聞くだけで安心し、落ち着かれることがあります。つじつまの合わないことを言っても否定せず、その気持ちを受け止めてあげてください。
病院では必要に応じて下記の対応を行う場合があります
- 神経を落ち着かせる薬や脳の機能の乱れを改善する薬の使用
- 治療に必要なチューブ類の保護
- 転倒や転落によるケガを防ぐためのセンサーや安全柵の設置
- 患者さんの安全を確保するための必要最小限の身体の抑制